試験・分析・測定業務

土質試験

物理試験一式

土粒子の密度試験(JIS A 1202:2009)

土は大きく分けて土粒子(固体)、水(液体)、空気(気体)で構成されている。土粒子の密度とは土の固体部分の単位体積当たりの平均質量であり、土粒子の密度のみから土の特性や分類ができるわけではないが、間隙比や飽和度など他の物性値を算定するために必要である。

図-3.5.1 土を構成する要素
地盤材料試験の方法と解説,地盤工学会(2009)

試験は9.5㎜のふるいを通過した試料を対象とし、土粒子の質量と体積を求めることが主な作業となる。

図-3.5.2 密度測定の概念図
絵とき 土質力学(改訂2版),pp.22,2000

試験方法

9.5㎜ふるいを通過した試料を粉砕したのち、比重瓶(ピクノメーター)にを入れ、蒸留水を加え、沸騰により脱気(気泡の除去)する。蒸留水は温度により密度が変化するため、各段階での質量測定時に水温も測定する。

図-3.5.3 試験使用機具と主要な試験作業の流れ
 
 

土の含水比試験(JIS A 1203:2009)

土は土粒子・水・気体の3要素から構成されており、その性質は中に含まれている水分量の多少によって大きく変化する。含水比は土中の水分重量と土の乾燥重量との比を百分率で表したもので、間隙比や飽和度など土の基本的物理量の計算や土の力学的性質の推定時などに用いられる。

図-3.3.4 模式的に表した土の構成図
絵とき 土質力学(改訂2版),pp.22,2000

試験方法

試料の質量を測定した後、恒温乾燥炉に入れ110±5℃で一定質量になるまで乾燥させ、室温になるまで冷まし、再度質量を計る。

図-3.5.5 測定する試料および容器の概念図
 

土の粒度試験(JIS A 1204:2009)

土粒子には礫や砂などのように大きいものからコロイドのように非常に小さいものがあり、その粒径の大小により土の性質が異なってくる。粒径は以下のように分類される。

図-3.5.6 土粒子の粒径による区分

試験は高有機質土以外の75㎜ふるいを通過した土を対象とし、各粒径に応じてふるい分析、沈降分析を実施する。以下に、試験方法をフローチャートで示す。

試験方法

図-3.5.7 粒度試験のフローチャート
各図は「地盤材料試験の方法と解説」,地盤工学会(2009)を参考として作成
 
 

土の液性限界・塑性限界試験(JIS A 1205:2009)

土は含水量の多少によりその物理的ならびに力学的性質を変化させる。例えば乾燥し粉体である粘性土に水を少しずつ加えていくと固体・半固体から液体へと変化する。
土が含水量の多少に応じて示す性質を土のコンシステンシー、各状態変化の境界における含水比をコンシステンシー限界という。
液性限界とは土が塑性状態から液状、塑性限界は塑性状態から半固体状に移る時のコンシステンシー限界である。本試験は425μmのふるいを通過したものを対象とする。

図-3.5.6 土粒子の粒径による区分
 

試験方法

液性限界試験

パテ状になるよう水分調整した試料を黄銅皿に最大厚さが約1cmになるように入れ、形を整えた後、溝切りで試料を二つに分ける。この皿を落下装置に取り付け毎秒2回の割合で1cmの高さから落下させ、溝の底部の土が長さ約1.5cm合流するまで続ける。溝が合流したときの落下回数を記録し、合流した付近の試料の含水比を測定する。
液性限界は溝の合流まで25回の落下を必要とするときの含水比であり、以下に示すような流動曲線から求める。
含水比を変えて操作を行っても溝が切れない場合や所定の落下回数のデータが得られない場合、流動曲線を描くことが困難な場合はNP(非塑性)とする。

図-3.5.9 試験器具一式
 
図-3.5.10 液性限界試験状況の概況
図-3.5.11 流動曲線の例
 

塑性限界試験

試験は、手のひらと“すりガラス”との間で、練り合わせた試料の塊(液性限界で用いた試料)を②写真のように押さえつけながら転がし、ひも状にのばし、ひもの太さが直径3mmになったとき、再び塊にする。この作業を繰返すうちに水分が蒸発し、③写真のように、ひもが直径3㎜になった段階で切れぎれになったときの含水比を測定すれば、それが塑性限界wpである。
操作を繰り返しても土が直径3㎜のひもにできないときはNP(非塑性)とする。

図-3.5.12 塑性限界試験作業の流れ
 

試験のご依頼、内容のお問合せ先

 

出典:JIS 日本工業規格 規格集 329-333、335−337、339-341、343-347頁